前編をまだ読んでいないよという人はこちらからどうぞ。
→ http://ajiteiseruna.blog.fc2.com/blog-entry-1386.html
前編では、大国主さんが高志の国(越国)まで足を運び、
奴奈川姫と歌を詠み交わし合い結ばれるというお話をしました。
今回はその続きです。前回も申しましたが、合間に挟む漫画は
私が数年前に描いた古事記漫画の中から抜粋したものです。
ペン入れはしておりません。※画像の無断転載を禁じます。
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大国主は国の領地を広げるたび、
他所の地方の女性の元へと足繁く通うようになり、正妻である
スセリビメは独り寂しい夜を過ごす事が増えてゆきます。
どうしようもなく寂しい気持ちから嫉妬をする彼女に困り果て、
大和国へと旅立つ事を決めた大国主は、片手を馬の鞍にかけ、
片足を鐙に入れて、次のような歌を歌ったのです。

「射玉の実のように黒い衣を着込み、
沖に遊ぶ水鳥が胸毛を繕うように、袖の裾を広げ胸元を見ても、
この衣は私に似合わない。波が寄せる場所に脱ぎ棄てよう。
翡翠のような青い衣を着込み、沖に遊ぶ水鳥が胸毛を繕うように
袖の裾を広げ胸元を見ても、これも私に似合わない。
波が寄せる場所に脱ぎ棄てよう。
山の畑に蒔き育てた藍の根を臼でつき、染草の藍の汁で染めた
衣を着込んで、沖に遊ぶ水鳥が胸毛を繕うように、袖の裾を広げ
胸元を見てみたら、これは私によく似合う。
愛しい妻よ、群がり飛ぶ鳥のように私が大勢の者を引き連れて
行ってしまったのなら、引かれて飛ぶ鳥のように誘われ、
私が大勢の者に引かれて行ってしまったのなら、
あなたは泣かないと言うだろうが、山の辺の一本ススキのように
うなだれて、あなたはきっと泣くだろう。
あなたの嘆く溜息は朝の雨で立ち込める霧のように立つだろう。
若草よりなよやかな我が妻よ、この事を語って伝えます」

夫の歌を聞いたスセリビメは、旅立とうとしている彼のもとへと
盃を持って近くに寄り、続いて歌を詠みました。
「八千矛の名を持つ、尊い神の命、私の大国主よ。
あなたは強い男でいらっしゃるゆえ、渡りゆく島の岬ごとに、
巡りゆく岬ごとに、萌え出でる若草のような妻を御心のままに
お持ちになる事が出来るでしょう。
しかし私は女ですから、あなたをおいて男というものはなく、
あなたをおいて夫というものはありません。
寝屋の隔てに垂れる綾織りのふわりとしたその下に、
絹の布団のやわらかな下で、栲の布のさやさやとさざめく下で、
淡雪のような私の若々しい胸を、栲綱のような白い腕を、
そっと撫でたり触れたりして愛し、玉のような手を枕にして、
脚をのばして、ゆっくりとおやすみになって下さいませ。
さあ、豊御酒をひとつ召し上がって下さい」

このようにスセリビメが歌ったので、大国主は機嫌を取り戻し、
盃を交わして永遠に愛が変わらない事を誓い合った。
仲睦まじく互いのうなじに手を掛け合い、親しく睦びあい、
その魂は今日に至るまで出雲の国に鎮座をしている。

ヌナカワヒメと交わし合った歌、スセリビメと交わし合った歌、
以上の歌を「神語(かむがたり)」と言います。

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(=゚ω゚)「こっちが恥ずかしくなるくらいにラブラブですな」
(* ´ Д` )「……すごく…エロちっくです」
神語は、古代のラブストーリーと言ってもいい。
ちなみにここで歌われる歌の中で、大国主が歌う「黒い衣」や
「青い衣」はそれまで大国主と関係を持った女性を表していて
(奴奈川姫は「黒姫」とも呼ばれているので、黒い衣は奴奈川姫
を指しているのではないかという話をどこかで見ましたが…
又は「ヒスイ=カワセミ」で青い衣の方だったか忘れた)
最後の「藍で染めた衣」はスセリビメを指している。
つまり大国主さんは「やはり私に似合うのは貴女しかいない」
という歌を、スセリビメに送っているのですよね。
(=゚ω゚)「おまけに、スセリビメもツンデレすぎて萌えるね」
泣かないと強がるような女性だけど「私にはあなたしかいない」
って歌を大国主さんに送るとか、めちゃめちゃ可愛いすぎだし。
何だかんだでこの夫婦さ、バリバリ愛し合っているのが物語に
滲み出ちゃってるから本当「ご馳走様です」って感じだよw

大国主は多くの后を娶り、多くの子をもうけましたが、
詳しく書くと更にまた長くなりますので「大国主 系図」という
キーワードで各自で検索してみてください。面白いですよ。
現代語訳でも、漫画化されたものでもかまいません。
皆さんも古事記を読んでみてはいかがでしょう。
あまり難しく考えないで、まずは気軽にパラパラと…♪
↓オススメはこの辺。書店で探してみてね。
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