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2018年11月20日 (火) | 編集 |
もう少ししたら岩手の「伝承園」の記事を書く予定。
その前にこんな物語を記事にしておこう。

東北には「オシラサマ」と呼ばれる神様がおり、
「蚕の神」「農業の神」「馬の神」とされていますが、
地方によっては、目の神や火の神としても信仰されています。
このオシラサマはわかっているもの(発見されたもの)の中では
大永五年(1525)の青森県九戸郡種市町に所在していたものと、
天正二年(1574)の岩手県下閉伊郡新里村及び、下閉伊郡川井村
のものと、大変古くから存在しているそうです。

日々共に働く農耕馬はとても大事にされ、
「曲り家」というひとつ屋根の下で人馬が共に暮らし、
養蚕の盛んだったこの地方だからこそ自然と語られたであろう
オシラサマの物語は所謂、「異類婚姻譚」(ケモナー歓喜w)。
以下、馬と娘の悲しい物語を、ちと脚色加えて書いていきます。
(岩手弁間違っていたらスイマセン…)

【オシラサマ】-----------------------
 むかしむかし、遠野の村に貧しい百姓がおりました。
この百姓に妻はいないが美しい娘がおり、そして一頭の馬を
飼っていました。娘はこの馬をいつも可愛がっており、
夜になれば馬屋へ足を運んでは一緒に寝るほどの溺愛ぶりです。
娘はふふっと笑いながら「おらぁ馬コと、めおとになるんだ」
と語りますが、父は冗談だと思って相手にしていませんでした。
「ひょんたな事言うでねぇ、人が馬コと一緒になるなんぞ…」
「ほんとよ、おらはこの馬コが好きだもの」
娘は嬉しそうに目を細めます。

しかしある夜、本気で馬を愛した娘は馬と結ばれ、
本当に夫婦になったことを父は知ってしまうのです。
「オラの大事な娘がこんな事を…」

翌日、秘密を知った父は、娘には何も言わず馬を外へ連れ出し、
桑の木に吊り下げ、馬を殺してしまいました。
その夜、馬がどこにも居ない事を不審に思った娘が尋ねます。
「おっとぅ、馬さどこへやった?おらの馬コがどこにもおらん」
父は黙っているつもりでいましたが、馬を殺してしまった事を
娘に全て話してしまいます。それを聞いた娘は驚き悲しんで、
桑の木の下まで駆け寄り、馬の首にすがって泣きました。

「あぁぁ!なんて事を!おらの夫…おらの夫が……!」
「こんな畜生が夫だと?!おめぁ、バカ言ってるでねぇ」
「おらの大事な夫が…惨い…どうしてこんな惨い事を…」

父はこの馬をさらに憎らしく思い、手にしていた斧で馬の首を
娘の前でバッサリ斬り落としてしまいました。
「いやぁぁー!おっとぅ、やめて!もうやめて!」
すると娘は馬の首にすがったまま、たちまち天へと昇り去って
しまいました。

今に伝えられる「オシラサマ」というのは、この時になった神
だと言われています。馬を吊り下げた桑の木の枝で、
神像を作ると言われています。

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…ここまでが「遠野物語・69」(柳田國男)のお話。
オシラサマについてはこの続きが「遠野物語拾遺・77」
で語られています。こちらの方では娘が天上に飛び去る前に
父に言い残す描写があります。

【オシラサマの続き】--------------------
父が馬を殺したのを見て、娘が嘆き悲しみ父に言いました。
「おらはもうココにいられない。おっとぅ…オラが出て行っても
困らないようにしておくだ。三月十六日の朝、起きたら臼の中を
見て欲しい。そこに、おっとぅを養うものがある」
そう言うと娘は馬の骸と共に天へと飛び去ってしまいました。
 やがて娘が約束したその日がやってきます。
言われた通り臼の中を覗いてみると、馬の頭をした白い虫(蚕)
がわいていました。父はそれを、桑の葉をもって養い育て、
作られた絹糸で暮らすことが出来たということです。

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現代なら娘が「馬マニア」と一蹴される事案ですな。
しかしやはり普通に考えて、人と馬が交わる事態は異常だし、
馬を殺すのはちょっとやりすぎではあるが、父ちゃんが怒り狂う
気持ちもわからんでもない。獣姦ダメ、ゼッタイ。(´・ω・`)


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テーマ:歴史雑学
ジャンル:学問・文化・芸術