実は丹後国風土記(逸文)に残される浦島伝説の方が、
いちばん古いんですよね。
しかもこちらは虐められた亀もいませんし、
亀を虐めた子供らもいません。なので、現代に語られる
浦島太郎の物語とは始まりの部分が少し違います。
与謝の郡。日置の里。この里に筒川という村がある。
この村に日下部首(くさかべのおびと)らの先祖で、
名を『筒川の嶋子』という男がいた。生まれつき容姿端麗で、
彼以上に比較すべき物がないくらいに良い男であったそうな。
(=゚ω゚)「おっ、昔ばなしか」
……元のお話は長くなるので、以下ざっくりお話していこう。
(=゚ω゚)「ざっくり?」
SERUNA:「うん、ざっくり」
(=゚ω゚)「いつもそのざっくりが長いんだよ」
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雄略天皇の時代、嶋子(浦島太郎)は小舟で釣りに出かけるが、
三日三晩魚が全く釣れず、ただ釣れたのは五色の亀のみ。
不思議な事もあるもんだとそこに亀を置いて船上で居眠りをし、
ふと目を覚ますと恐ろしいほどの美女が嶋子を見つめていた。
(※実はこの美女は嶋子が釣り上げた亀である)
岸からだいぶ離れているのに!海には誰もいなかったのに!
と突然現れた美女に、吃驚仰天の嶋子。
嶋子:「ど…どこから来たんです?!」
美女:「貴方がとても素敵だったから気持ちが抑えられなくて、
貴方と親しくなりたくて、風にのってここに来たんです」
嶋子:「風にのってとは……」
美女:「私は天上の仙人の娘。どうか疑わないでください。
私と一緒に楽しくお話をしませんか?」
神女だと知り、嶋子は疑うのをやめた。そして彼女が言うには、
「結婚をして欲しいのですが、貴方の気持ちを聞かせて欲しい」
「イヤか、そうでないか、今すぐ返事を聞かせて欲しい」
「未来永劫、ずっと私のそばにいてほしい」と。
こんな美女に言われたら断る理由はない。信じられないほどの
超展開だったのに、嶋子はあっさりと心を許してしまいました。
「それでは私と一緒に蓬莱山(常世の国)へ行きましょう」
そう言って、神女は嶋子を眠らせ、海中にある広く大きな島へと
連れて行ったのです。
着いた場所は、今まで見た事もないほどの美しい宮殿。
童子たち:「亀比売様の夫だ」「へぇ、この人が亀比売様の…」
嶋子:(彼女、亀比売っていうのか…)
嶋子は、亀比売の両親に出迎えられ挨拶をしました。
亀比売の兄弟姉妹からも祝福され、里の幼女達にも接待をされ、
美味しい料理を沢山食べて、大勢で祝杯をあげました。
その楽しさといったらそれはもう、人間の世界の楽しさ以上の
ものでした。亀比売と嶋子は黄昏になり、二人きりになると、
肩を寄せ合い袖を交わし、夫婦の語らいをしました。
〜 それから、あっという間に三年の月日が経過 〜
故郷が恋しくなった嶋子は、何をしても気持ちが沈み、
「帰りたい」という気持ちで心がいっぱいになっていました。
亀比売:「どうしたの? 人間の世界に戻りたくなったの?
千年も万年も一緒にいたいって私に言ってくださったのに」
嶋子:「ほんのしばらくの間でいいんだ。故郷へ帰って、
両親に会う事を許してくれないだろうか」
二人は手を取り合って彷徨い、嘆き悲しんだが、
結局嶋子は元いた世界へ帰る事となり、亀比売の両親や親族も
彼を見送った。別れ際に亀比売は嶋子に美しい櫛箱を手渡した。
「私の事を本当に忘れないで、恋い尋ねてくださるならば、
この匣をしっかり握って、決して開けて見ないでください…」
そう言われて舟に乗り、目を閉じて眠らされると、
たちまち元いた筒川の村。
だが嶋子が見渡してみると、何か少し様子がおかしい。
自分の住んでいた村ではあるがそうではない。
「あの…水江の浦の嶋子の家の人たちは今どこに……」
彼が村人に尋ねるとこう返ってきた。
「そいつは随分と遠い昔話だが、お前さんは一体どこの誰だい?
言い伝えによると、浦の嶋子とやらは海に出たきり行方不明。
しかも三百年も前の話だぞ」
……絶望しかない嶋子。
あちこちを歩き回ったけれど、知っている者は誰一人いない。
気付くと帰ってきてから十日も過ぎてしまっていた。渡された匣
を撫で、亀比売のことを思い出しながらしみじみとしのんだ。
別れ際にした約束をすっかり忘れ、匣を開いてしまうと、
彼の若々しさは一瞬にして消し飛んでしまった。
「約束も破りこんな姿に…もう彼女とも会えないのか…」
嶋子は頭をめぐらせ佇み、涙に咽び彷徨った。
そして涙を拭い彼は歌った。
「仙界の方向に雲がたちたなびいている。
私の言葉を伝える雲が、常世にまで流れている」
神女が彼の歌をかえすように雲の間を飛びながら歌います。
「大和の方向に風が吹き上げ、雲を吹き飛ばしてしまった。
遠く離れていても私の事を忘れないでくださいね」
嶋子は恋の想いを断ち切れず、再び彼女に歌った。
「あなたを恋しく思い、夜明けに戸を開いていると、
常世の浜の波の音が聞こえてくるよ」
後の時代の人がその後に付け加えて歌った。
「水の江の浦島の子が、
玉匣を開けなかったらまた逢えたのに」
「常世の方に雲がたちたなびく。
雲はたちたなびいているのに、彼女に逢えなくて哀しい」
〜おわり〜
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( ´;ω;`)「乙ちゃぁぁぁーーん!」
風土記に描かれる話はここに書いた通りなんですけど、
浦ちゃんは最後に、乙姫に向けて歌を歌っているんですよね。
この物語を読んだ後にauの浦ちゃんの『海の声』を聴くと、
「クッソ…沁みるわー」となるのは私だけでしょうかね。
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