このお祭りには「お面さん」と呼ばれる猿田彦が登場します。
猿田彦の面にはこんな物語が…
それは江戸時代のお話です。
焼津の村に村松さんという大変そろばんの上手な人がいました。
村松さんは「江戸の町で沢山の人にそろばんを教えたい」
と思うようになり、そろばん一つ持って江戸へ向かいました。
そうして江戸のあちこちで得意のそろばんをパチパチ教えている
うちに何年か過ぎ、再び焼津へ帰ることにした村松さんは、
「江戸のお土産に、何か良いものが無いかなぁ…」とあれこれ
考えた末に、能面作りで有名な『出目右満(でめすけみつ)』
にお面を作ってもらう事に決めたのです。
右満は村松さんの願いを快く聞き入れ、心を込めて一生懸命
『猿田彦の面』を彫りました。
命が吹き込まれたかのように見事に彫り上がった猿田彦の面を、
村松さんは大喜びで土産にして焼津へ持ち帰りました。
この大変素晴らしい出来栄えの猿田彦の面を、彼は暫く家の神棚
で大事に祀っていたのですが、眼光がとても鋭く気になって
夜もゆっくり眠れなくなったため困り果ててしまい、
焼津神社に差し上げたという事です。
この面は、今でも焼津神社の宝物として大事に扱われています。
↑ YouTubeからどなたかがアップしている動画を拝借。
高下駄を履いているのが猿田彦です。
さて、最初に話した物語にはもうひとつこんな話が付け加え
られています。出目右満という人物は、あの豊臣秀吉に「天下一」
という称号を与えられた大変腕の良い能面師なのだとか。
(根付なども作っていたらしい)
村松さんに猿田彦の面を彫った出目右満。
彼はあの面を「我ながらよく出来た面だ」と気に入っていた
のですが、譲ってしまった後に少し寂しい気持ちに。
そこでまた手元に同じものを残しておきたく、もう一面彫ろう
と思い、再び気合を込めてノミをふるっておりました。
ある夜のことです。
右満の仕事場を覗き込む一人の怪しい男の姿が……
そう、彼の見事な仕事ぶりを妬ましく思っている人物がいた
のです。男は一生懸命に面を彫る右満の後ろに忍び寄り、
刀を抜き頭上に構えました。右満がその気配に気付いて振り返った
時はすでに遅し。男の振り下ろした刀は右満の右腕をザックリと
切り落としてしまったという事です。
作りかけの面はその時の右満の血で赤く染まったまま、
今も奈良の正倉院に納められているそうですが、残念ながら
この面に関する資料を探したけど見つかりませんでした。
※この物語を作成するにあたり『企画展 やいづの昔ばなし』
の冊子と、焼津市のホームページを参考にしております。
【余談です】
今年も焼津神社の大祭が行われます。
http://yaizujinja.or.jp/annai/aramaturi/
みなさん是非、今月は焼津へ訪れてみてはいかがでしょう。
「お面さん」も登場しますよ♪ ( ´ ∀`)ノ
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